この本は、日本の大学等のアメリカ人種問題関係では必ずといえるほど参照される有名な著作で、社会におけるアイデンティティを求めてさまよう黒人を描いています。
大きな議論を呼んだこの本の影響は白人・黒人双方に大きく、白人はそれまでの黒人についての考え方が変わり、また黒人は自分自身への見方が変わりました。
◆この本の冒頭のエリソンの言葉:
"I am an invisible man … I am a man of substance, flesh and bone, fiber and liquids – and I might even be said to possess a mind. I am invisible, understand, simply because people refuse to see me…When they approach me they see only my surroundings, themselves, or figments of their imagination – indeed, everything and anything except me.”
「私は人に見えない人間だ。…私は物質と肉と骨、繊維と液体でできた人間だし、私には心もある、と言えるだろう。私は人には見えない。分かっている。単に、人が私を見ることを拒んでいるからなのだ。私に近づくと、彼らは私の周囲の状況か、あるいは彼ら自身を見ているか、または彼らの心に浮かんだものを見ているだけなのだ。実に、あらゆるものを見ているのだが、私だけを見ていないのだ。」
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最近のVOAは彼を「今でも取り上げられる作家」として取り上げています。
1990年に黒人作家チャールズ・ジョンソンが全米図書賞を受賞した際に、先人として自分を導いてくれたエリソンに謝辞を述べました。授賞式に参加していたエリソンは次のような言葉を贈っています。
◆"You do not write out of your skin. You write out of your ideas and the quality of your mind."
肌の色からくる思いから作品を書くのではなく、君のアイデアや心模様から作品を書きたまえ」
発刊当時は、黒人作家による人種差別を描いた作品として取り上げられましたが、現在は、人種や文化の差を越え、社会から無視された人たちを描いた作品として、今も多くの読者を惹きつけているようです。
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